地方と地方が実習生でつながる

昨年11月から毎月気仙沼に通って「つながる気仙沼プロジェクト」の準備を進めてきましたが、今日は核となる企画の第一回を行うことができました。

気仙沼の地元企業・菅原工業の実習生の寮のリビングから、ジャワ島や気仙沼のほかの会社の実習生たちや住民のみなさん、そして東京や長野、埼玉などからご参加いただき、「オンラインおしゃべり広場」を開催。気仙沼という人口6万人の町が、東ジャワでもっとも世界へと出稼ぎを送り出している地方都市ポノロゴと、技能実習生という「メディア」を介してダイレクトにつながりつつある一方、そのことに自覚的な人がほぼ皆無というこの状況を可視化したい。それは地方と地方が東京やジャカルタといった大都市を介さずに直接つながる非常に興味深いネットワークであるとともに、もしかしたらかつてはそうした豊かなネットワークがそこここにあったのかもしれないという「発見」であり、地域資源とか社会資本とか、何かそういうそれらしいことを言う前に、単純におもしろい、すっごく痛快なことだと私は思っています。

そこで話に出たことがらも、気仙沼ではどんな風に買い物するといいよとか、日本人の友達をつくるにはスポーツクラブに入るのが一番とか、数千キロを隔てた地域が日常で地続きというそのことに私は底知れぬ喜びと感動をおぼえています。コロナの影響で昨年の今頃に助成元へ出した企画書とはまったく別モノになっていますが、ベースとなる「日本の田舎とインドネシアの田舎がダイレクトにつながっているのに、誰もそれをおもしろがらない状況をなんとかしたい」という問題意識とパッションは変わっていません。なんか本当に普通のことをいろいろと話しました。オンラインを切ったあとも、実習生の寮で実習生がこれまで話さなかったような「本当の夢」や矛盾みたいなものを一生懸命話してくれたり。毎月、1回の滞在はほんの2日くらいのものですが、どんどん深化していくこのプロセスと関係性には、これまで各地で積み上げてきた私のコミュニティアートの取り組みにとって、ふるえるほどに深い喜びと新たな地平を見せてくれています。 テリマカシー